紀州備長炭干しへの思い
「灰干し」という製法の干物があります。
当工房でも二代目は灰干し製法で干物づくりをしておりました。
九州の火山灰の吸水効果を利用しての製法です。
そして三代目の僕はこの「灰干しを辞め、
紀州備長炭を使って干す『紀州備長炭干し』を創りました。
なぜ灰干しを辞め紀州備長炭干しに変えたか。。。。?
簡単に言うと、
『和歌山の特産物を使った和歌山が全面に出た干物を作りたかったから』です。
灰干しがまったく売れなかったわけじゃないんです。。
ただ紀州・和歌山で干物を作っているのに、九州から取り寄せた火山灰で干物を作るということ。
どうにも違和感があって何か和歌山独自のものでおいしい干物を作れないかと日々考えていました。
きっかけは一人のお客様との会話からでした。
何か和歌山の物で干物を作れないかと考え始めて数年たったころ店に干物を買いに来てくれていたお客さんと話す機会がありました。
そのお客さんがたまたま紀州備長炭を販売している方だったのです。
話の内容は火山灰でどうやって干物にしているのか?を説明していました。
その説明を聞き、その方が「火山灰の構造が備長炭と一緒やな!!」と何気なく言った一言で
僕は「んっ?!!」
と思いそこから紀州備長炭のことを調べ始めました。
僕はもともと頭が良くないので(汗)
調べれば調べるほど奥が深く、余計にわからなくなってきたので、和歌山県で紀州備長炭を加工している会社を調べ直接連絡しました(笑)
「紀州備長炭で干物を作りたいんですけど・・・
と説明すると、、、
「それ面白いね!」と即答!!
協力してくとれることになりました。
備長炭の性質や特徴等教えてもらい、こちらの要望にも協力していただき試行錯誤しながら商品化に至りました。
今では当工房独自の製法になっています。
紀州備長炭の特徴は均等に水分が抜けるという事。
臭いを脱臭するという事。
この二つがうちの干物にとって重要な効能です。
魚の魚肉には旨味成分の遊離アミノ酸が含まれています。
干物はこれが増えることから旨味が増すと言われています。
ではどのようにして増えているのかと言うと、魚肉タンパク質分解酵素というのが乾燥時に活性し、
遊離アミノ酸に変わることで旨味が増加します。
ただ活性しているのは水分がまだ多く含まれている時で、速く水分を減らしてしまうと活性しなくなります。
ですので短時間で乾燥させて仕上げてしまうのは旨味が増える時間も少なくなるという事です。
紀州備長炭干しはじっくりゆっくりと時間をかけて熟成乾燥させるのでこの活性を最大に生かすことが出来るのです。 しかも熟成中は空気に触れることが無いので酸化もしないという事なんです。
こだわりのある、おいしい干物は全国に沢山あると思います。
しかし、紀州備長炭干しは日本唯一の当工房独自製法です。
この製法を日本一うまい干物になるよう努力し、進化させていきたいと思ってます。
追伸:ご存知の通り備長炭は燃料として大変優れています。
水の浄化・御飯がふっくら焚ける
マイナスイオン効果
等々、効能・用途はまだまだ沢山あります。
正直、紀州備長炭のことはまだまだ知らないことだらけだと思っています。
紀州備長炭は奥が深い・・・まだまだ知らないパワーがありそうですね。