干物の製法
干物の作り方~色々な製法~
干物はその昔、魚を腐らせずに長期保存できるようにと人々が知恵を出し考えられた歴史ある食べ物です。
そして長年に渡り受け継がれ、今では研究を重ねられて干すことで旨くなることが分かり、全国の造り手の方たちが思い思いのこだわりとプライドを持って作られています。
ここでは干物の製法をご紹介します。
◎天日干し製法
天日干しはご存知かと思われますが、陽あたり・風通しの良い場所で数時間干してその後、日陰で数時間干した干物です。
天日と風に当てながら乾燥させ、その間に旨味が凝縮されおいしくなる製法です。
この天日干しは昔ならではの製法で、今では少なくなってきていると聞きます。
製造において、天候に左右されやすく、大量生産するには広大な土地がいり、生産効率も良くないからでしょうか。。。
ただ、今でもこだわりをもって天日干しを行っている方たちがいます。
実は、僕も結構天日干しは好きです(笑)
◎一夜干し製法
一夜干しはその名の通り、天日干しとは逆で夜の間に屋外で干す製法のことです。
夜の気温が下がった状態の風通しが良い場所で生産されます。
日中と違い温度が低いため、天日干しとはまた違った味に仕上がります。
◎機械乾燥製法
機械乾燥には2種類あります。
温風乾燥と冷風乾燥です。
温風乾燥は、室温~50℃の温かい風をあてて水分を蒸発させる乾燥方法です。。
短時間で干すことが出来るため大量生産がメリットでコストが抑えられます。、
温度が高いため表面が変質しやすく、見た目が悪くなりやすいがデメリットです。
冷風乾燥は、干物製造で最も利用されている乾燥方法だと言われています。
15℃~35℃で、除湿空気を乾燥室内で循環させて乾燥します。
天候に左右される事も無く、仕上がりの見た目も良く、大量生産できコストを抑えられます。
現在の干物生産において最も広く利用されている乾燥方法です。
地域にもよりますが、スーパー等の量販店でよく見かけるのはこの製法が多いと思います。
◎灰干し(文化干し)製法
塩水漬けした魚を透水性多孔質セロファンで包み、乾燥した火山灰の中に入れ水分を取り除く製法。
メリットは前述した製法と異なり魚が空気に触れないことです。
食品全般同じですが、空気に触れてしまうと酸化してしまうのは避けられません。
この製法は空気に触れることなく水分を吸収するので鮮度を保ったまま仕上げることができます。
デメリットはすべて手作業で行うので、生産効率が悪い所です。
その分お値段がどうしても高くなってしまいます。
◎紀州備長炭干し製法
この製法は当工房独自の製法です。
紀州備長炭をタンスに入れて湿気を取ったり、冷蔵庫に入れて匂いを取ったりしたことありませんか?またはきいたことありませんか?
この紀州備長炭は吸水・脱臭といった特性があるのです。
当工房ではこの特性を生かし干物に仕上げています。
工程は上記の灰干しと同じでセロファンで包んだ魚を粉砕した紀州備長炭の中に入れ製造します。
こういったように干物にもさまざまな製法があり、これらを知りながら食べていただくのもちょっとした楽しみになるのではないでしょうか?
同じ製法でも、工房が違えば同じ味の干物はありません。
これらの製法に全国の各工房のオリジナルのこだわりが加わるからです。。。